バイクの点火装置について解説してみた。【CDI/フルトラ/セミトラ/ポイント】

早速ですが、CDI”・”フルトラ”・”セミトラなんていうワードを聞いたことがありますか?

コレはバイクのスペック表なんかにも欠かさず登場してくるワードで、エンジンの点火に関わる重要な機構を示したもの。

  

時代によって進化してきた重要なメカニズムである”点火装置”についてざっくり解説していく記事です。

 

この記事を読めば、下記の内容を理解することができますので、是非最後までご覧ください。

この記事で分かること

スペック表に記載されている、”点火装置”について理解できる。

”CDI点火”・”フルトランジスタ点火”について”ざっくり”理解できる。

バイクの”スペック表”についての知識が身に付く。 

   

 

目次

バイクの点火装置って? 

”点火装置”とは、つまりエンジンで火花を発生させている装置のこと。

エンジンは、吸気⇒圧縮⇒爆発⇒排気というサイクルを繰り返しているワケですが、この部分でいう爆発に関わっている重要な装置ということ。

いろいろな種類の点火装置が存在しますが、現在一般的な点火装置は、”CDI””フルトランジスタ”の2つ。

旧来の方式として、”ポイント方式””セミトランジスタ方式”などもありますが、まずは主流の2つの点火装置に絞って解説していきます。

 

 

CDI点火装置(AC-CDI/DC-CDI)

Capacitor Discharge Ignition(キャパシター ディスチャージド イグニッション)の略。

最近はかなり減ってきている点火装置ではありますが、2000年代くらいのバイクまではCDI点火装置のバイクが多かったです。

仕組みとしては、フライホイールマグネットと呼ばれる磁石を回転させて、電流をコイルに蓄電、溜まった電圧をスパークさせることで点火しています。 

 

”AC-CDI”の特徴

コンデンサという蓄電部品を使ったCDI点火装置を、”AC-CDI”と呼びます。

特徴としては、シンプルな部品構成のため、壊れにくく軽量なこと。

バッテリーは不必要な為、”スカチューン”で定番のバッテリーレスカスタムなんかも可能だったりします。 

デメリットとしては、バイク自体が発電機となっている影響により、エンジンの回転数が低いと電圧が落ちてライト類が暗くなったり、暖機が完了するまでは電圧が不安定だったりもします。

またエンジンの始動に電気を利用することが出来ないため、”AC-CDI”のバイクは基本的に”キック始動”が付いているバイクに限られます。

(極限の軽量化を目指すレース車両なんかは”AC-CDI”かつ”キック”すら付いてないので、押しがけでエンジン始動したりすることもありますね。)

 

”DC-CDI"の特徴

DC-CDI”は、バッテリーを利用して点火する仕組みです。

特徴としては、バッテリーという供給源を確保することにより、安定した点火をすることが出来ること。

また、バッテリーを搭載することによりセルモーターを搭載することが出来るのも大きな特徴ですね。

デメリットとしてはバッテリーの状態が悪いと始動が困難になることで、セル始動のみのバイクだと、バッテリーが上がった時点で始動不可になってしまいます。

バッテリーが弱っただけなら、押しがけやキック始動なども可能ですが、完全に放電されてしまった場合はそれも不可能。

最近のバイクはライトの高照度化や、電子制御システムが搭載されまくりなので、基本的にはCDIのバイク=バッテリーCDIだと思っても大丈夫。

 

【余談】原付におけるCDI交換とは?

CDIが搭載されている原付に代表されるお話をご紹介。

原付バイクには60km/h以上出ることの無いように、CDI自体にリミッターが搭載されています。

これはある一定以上スピードが出ると、点火を制限することによりエンジンの回転数を調整する仕組み。

このリミッターを解除させたCDIが社外品で販売されている為、交換するだけでスピードが出るバイクに早変わりします。

一時期はCDIの原付バイクのカスタムでは王道でしたが、後述するフルトラ点火に切り替わってからはあまり見なくなってしまいました。

 

  

フルトランジスタ式点火装置

フルトランジスタ(フルトラ・TCI点火装置なんて言われることも)は最近の主流となっている点火装置です。

CDIでは磁石(DC-CDIならバッテリーも)を使って電力を発生させる方式でしたが、フルトラ点火の場合は磁石を使用せず、純粋にバッテリー電力のみを利用し火花を飛ばしています。

また、火花を飛ばすタイミングなどについても電子制御が為されており、CDIと比較して”正確に強い火花を飛ばすことが可能”になっています。

 

フルトランジスタ方式自体は2000年前後には既に存在しており、大型バイクやレーサーレプリカなどの車両に取り付けられていました。

低排気量帯を含む多種多様なバイクに取り付けられるようになったのは、排ガス規制の影響からFI(フューエルインジェクション)に変わる際に一般的になってきた印象。

電子制御されているため、DC-CDI同様バッテリー状態が悪いと始動しないなどのデメリットがありますが、最近のバイクはみんなそうなので仕方のないことです。

バッテリーレスカスタムなどを目指す人は、該当バイクがフルトラ点火の時点で”ほぼ”不可能になってしまうので、そこだけは要注意ですかね。

 

 

【余談】点火システムの歴史

CDI点火装置・フルトランジスタ式点火装置について解説してみましたが、これ以外にも点火装置は存在します。

基本的には旧車・オールドハーレーなどの古いバイクにしか採用されていないのですが、余談としてざっくり解説をしていきます。

 

ポイント点火システム(接点式点火装置)

かなり古いバイクに多い点火方式で、有名車種としては

・KAWASAKI KH250 Z1000 Z1 Z2 などの70~80年代の旧車たち。

・ハーレーならば1960~70年代中期の車両。

・1990年以前のほとんどのバイク。 

 

ポイント点火の仕組みを一言で説明すると、物理的な接点を利用して火花を飛ばしているということ。

出典:Goo自動車&バイク 接点式点火とは?

もっと詳しく話すと、クランクシャフトという軸を利用してエンジンの回転数を拾っていて、シャフトに取り付けられた”おにぎり型”のカムの山部分を乗り越えたタイミングで接点とコンタクトブレーカー同士が導通したタイミングで火花を発するという非常に物理的な仕組み。

点火タイミングが正確ではないこと、接点が摩耗したり汚損することによるメンテナンス性の高さなどから1990年代以降には使われることも無くなってしまいました。

もう既に無くなってしまった点火方式なので、豆知識程度に覚えておくといいですよ。

  

セミトランジスタ式点火装置

セミトラ点火は、フルトラ点火・CDI点火の間くらいのタイミングで生まれた点火装置ですね。

接点式点火のデメリットを排除しようとした結果、”無接点”で点火させるセミトランジスタ方式がとられることになりました。

点火自体についてはマグネットを利用することで無接点化を実現し、点火タイミングについては物理的な装置を利用するため”セミ”トランジスタと呼ばれています。

(”フル”トランジスタは、点火タイミングも電子制御されていますからね。)

バイクにもよりますが、ポイント点火のバイクからセミトランジスタキットを組み込むだけで、比較的簡単にセミトラ化出来ることも。

ちなみにセミトラ式点火も1990~2000年ぐらいまでにしか使われていない、失われた技術なので、知らない人も多いかもしれませんね。

 

 

あわせて読んで欲しい記事 

スカチューンについてざっくり解説してみた。

AC-CDIの項目で登場した”スカチューン”という単語について深堀りした記事です。

スカチューンって昔から人気のカスタム手法で、バッテリーを排除するバッテリーレスカスタムなどが行われることも多いジャンルなんですよね。

バッテリーレスカスタム出来る車種=必然的に”AC-CDI”が搭載されたバイク という図式が成り立つので、”AC-CDIのバイク”について気になる方は是非ご覧ください。

 

FIについてざっくり解説してみた。

”フルトランジスタ”の項目でも軽く触れましたが、FI(フューエルインジェクション)が搭載されたバイク=”フルトラ”搭載バイクといっても過言ではないです。

最近のバイクにはほぼ必ず搭載されている機構ですが、もしFIに興味があれば下記記事も是非ご覧ください。

 

 

バイクのスペック表”ほぼ”全項目解説してみた。

バイクの”スペック表”にフォーカスを当てた記事書いています。

スペック表にまつわることなら”ほぼ”網羅していますので、もしスペックについて分からないことがあれば下記記事をご覧ください。 

 

 

最後に

今回はバイクの点火装置である”CDI点火”・”フルトラ点火”について解説をしていきました。

 

最近ではフルトラ方式のバイクばかりですが、中古でバイクを探している人・ちょっと古いバイクに乗っている人なんかは知ってて無駄にならない知識かなと思っています。

この記事を読んで少しでも「バイクについて知識が深まった!」と思ってくだされば幸いです。

  

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