エンジンの”冷却方式”について解説してみた。【スペック表の見方・項目解説】
早速ですが、バイクのスペック表を眺めていて、”冷却方式”や”水冷”・”空冷”というワードを見かけたことはありませんか?
冷却方式って軽視されてしまいがちですが、実は走行性能にまで影響を与える重要な項目だったります。
今回はそんなエンジンの”冷却方式”について、ざっくり解説していく記事です。
この記事を読めば、下記の内容を理解することができますので、是非最後までご覧ください。
・スペック表に記載されている、”冷却方式”について理解できる。
・”空冷式”・”水冷式”・”油冷式”の特徴や、メリット・デメリットも理解できる。
・バイクのスペック表について理解が”少し”深まるよ。
目次
エンジン冷却がなぜ必要なのか?
まずは、前提のお話から。
エンジンというものは、ガソリンと空気の混合気を爆発させることにより熱が発生します。
燃料の爆発によって発生する気体の最高温度は2000℃なので、冷却をしなければエンジンの温度はどんどん上昇していきます。
さらに、エンジンは金属で出来ていますので、温度が上がり続けると熱膨張・最悪の場合は溶けてしまいます。
つまり冷却することを前提にエンジンの設計が為されているので、冷却は非常に重要ということですね。
エンジンの冷却方式は3種類!
バイクのエンジンを冷やす方式は大まかに分けると”空冷”・”水冷”・”油冷”の3種類存在します。
それぞれに特徴があり、乗り心地・走行性能なんかにも関わってくる重要な項目。
冷却方式によって特徴・メリット・デメリットなどが大きく異なっていますので、ココを理解した上でバイクを選ぶと、より深くバイクを楽しめますよ。
次の項目からは、それぞれの冷却方式について解説していきます。
”空冷式”の特徴とメリット・デメリット
空冷式エンジンは、”走行する際に受ける風”でエンジンを冷却する方式。
画像を見ると、エンジン上部に”ヒダのようなフィン”が無数に配置されているのが分かるかと思います。
このフィンは、なるべくエンジンの表面積を増やして走行風の冷却効果を高める目的があります。
さらに、エンジンの造形が特徴的かつデザイン性も高いため、空冷エンジンを好んで選ぶライダーも多いです。
走行性能はかなりマイルドで、水冷式と比べると緩やかな性格のエンジンが多いですね。
低排気量帯のバイクに多い冷却方式ですが、昨今の排ガス規制・騒音規制などの対処が難しいため、だんだんと数を減らしている冷却方式でもあります。
・走るだけで冷却してくれるので、メンテナンスの必要なし。
・構造が簡単で、軽量・コンパクトに仕上がりやすい。
・特徴的なエンジン外観に仕上がる為、見た目がカッコいい!
・走らないと冷却しないので、真夏の渋滞なんかでは冷却が間に合わない可能性も。
・エンジンの性能を引き出し辛く、環境対策・騒音対策も大変。
・始動直後などはギクシャクしやすいため、暖機を意識する必要あり。
”水冷式”の特徴とメリット・デメリット
読んで字のごとく、エンジンを”冷却水”で冷やす冷却方式です。
仕組みをざっくり解説すると、ラジエーターというパーツが走行風を受けやすい位置に取り付けられており、暖まった冷却水を循環させています。
基本的にラジエーター自体にファンが付いていることが多いので、走行風+電動ファンの2つの冷却効果により、エンジンを冷やしてくれるんですね。
風で直接エンジンを冷やす空冷式と比較して、水冷式エンジンの方が冷却性能がかなり高く、高負荷にも耐えることが出来ます。
空冷式と比較して、高回転かつ機敏にエンジンを回すことが可能なエンジンに仕上がります。
ちなみに余談ですが、空冷バイクにもエンジンオイルを冷やすためにラジエーターが取り付けられることもあります。(この機構を空冷オイルクーラーと呼ぶ)
水冷式では冷却水を冷やしますが、空冷式ではエンジンオイルを冷やすために搭載されます。
・冷却効率がかなり高く、空冷式よりもオーバーヒートを起こし辛い。
・空冷エンジンよりも高馬力&ハイクオリティ。
・エンジンノイズが少なく、環境性能も良い。
・空冷バイクと比較して、冷却関連のメンテナンスが必要になる。
・空冷エンジンがと比較して、エンジン構造が複雑な為、車両価格が高い傾向にある。
・エンジン重量が多くなるため、車体重量も増えてしまう。
”油冷式”の特徴とメリット・デメリット
”油冷式”とは、SUZUKIが開発したエンジンオイルを使ってエンジンを冷却する方式です。
仕組みは、水冷式エンジンの”冷却水”を”エンジンオイル”に置き換えたものと思って頂ければ。
空冷式よりも冷却効果に優れ、水冷式ほど複雑ではないので、ちょうど空冷と水冷の中間くらいの性能とされています。
空冷バイクに詳しい方なら、”空冷オイルクーラー”とは違うの?と思うかもしれませんが、”空冷オイルクーラー”はエンジンオイル全体を冷却するのに対し、油冷式は潤滑で使うエンジンオイルとは別の、独立した冷却用オイルを使うという違いがあります。
メジャーとは言えない冷却方式ですが、油冷式のバイクには根強いファンがいることで有名でもあります。
ちなみに、SUZUKIの独自技術のため油冷バイクは数が少なく、一時期ラインナップから完全に姿を消していましたが、最近油冷式の新車が発表され話題になりましたね。
・空冷バイクよりも優れた冷却効果がある。
・空冷エンジンよりも高性能。
・空冷とも水冷とも違う、独特なエンジンフィーリングが人気。
・SUZUKIの専売特許なので、購入するにもラインナップが少ない。
・水冷の冷却効果には劣るため、性能も水冷には一歩及ばず。
エンジンの冷却に関するトラブル
”エンジンの冷却は必須”と記載しましたが、もし仮にエンジン冷却が出来なかった場合はバイクの故障に繋がります。
まず、エンジンには”シリンダー”と”ピストン”というパーツが存在します。
シリンダー(筒)の中にあるピストンが吸気・圧縮・燃焼・排気を繰り返すことにより上下に動くことで、動力につなげています。
エンジンの冷却が間に合わないレベルの高負荷がかかると、この重要なパーツが膨張したり、変形したり、溶けてくっついてしまうことがあります。
(こういった熱による負荷がかかった状態をオーバーヒートといいます。)
オーバーヒートの前兆として、走行中にエンジンの動作がおかしくなる、水温系が異常値を指すなどの異常を感じたら、すぐにエンジンを停止して冷やすなどの対応が必須となります。
最悪の場合、エンジン部品が溶けたり変形して走行不能になってしまう為、知識として覚えておきましょう。
※ちなみにこの故障のことを”エンジンの焼き付き”といいます。(修理費用もバカ高い)
あわせて読んで欲しい記事
バイクの”スペック表”にフォーカスを当てた記事も書いています。
スペック表にまつわることなら”ほぼ”網羅していますので、もしスペックについて分からないことがあれば下記記事をご覧ください。
最後に
今回はバイクのエンジンの”冷却方式”について解説をしていきました。
エンジンの”冷却方式”はバイクのスペック表の中でも、かなり重要な項目。
メンテナンス頻度だとか、バイクの使い方、さらには走行性能なんかにも影響をもたらします。
もしバイクを選ぶ際に”冷却方式”を意識したことが無い人は、この記事を参考にこだわりを持って選ぶと、バイク愛が深まりますよ。
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