DOHC・SOHCについて解説してみた。【特徴・メリット・デメリット】
早速ですが、”SOHC”とか”DOHC”というワードを聞いたことはありませんか?
スペック表でいくと、”カム・バルブ駆動方式”という項目に記載されていたり、たまーにエンジンの話をすると出てくるワードですよね。
要はエンジンの種類のようなものですが、どんな特徴があるのか理解できていますか?
今回はそんな”SOHC”・”DOHC”について、超ざっくり解説していく記事です。
この記事を読めば、下記の内容を理解することができますので、是非最後までご覧ください。
・スペック表に記載されている、”カム・バルブ駆動方式”について理解できる。
・”SOHC”・”DOHC”の特徴や、メリット・デメリットも理解できる。
・バイクのスペック表について理解が”少し”深まるよ。
目次
DOHC・SOHCって何のこと?
ものすごくざっくりと説明すると、”エンジンバルブの開閉方法の違い”でしょうか。
この開閉方法を、1つの軸で頑張るのが”SOHC”で、吸気・排気に分けて2つの軸で効率化しているのが”DOHC”です。
コレだけだと説明が簡単すぎますし、「バルブって何だ?」という新しい疑問が発生した方もいると思うので、まずはバルブから順に説明していきます。
バルブについて超ざっくり説明。
まず前提として、バイクのエンジンは”吸気”⇒”圧縮”⇒”燃焼”⇒”排気”のサイクルを繰り返しています。
このサイクルの中で、バルブがどういう働きをしているかというと、
①”吸気” ⇒ 吸気バルブが開いてガソリンと空気の混合気をシリンダー内に取り込む。
②”圧縮” ⇒ 吸気バルブが閉じて混合気を封じ込め、圧縮する。
③”燃焼” ⇒ 先ほど同様バルブが閉じているまま、圧縮した混合気を爆発。
④”排気” ⇒ 排気バルブが開いて、爆発で発生した排気ガスを排出し排気バルブを閉じる。
要は、バルブというパーツを開いたり閉じたりしながら燃焼室をコントロールさせているということですね。
SOHCの特徴とメリット・デメリット
SOHCとは、シングル・オーバー・ヘッド・カムシャフトの略。
ちなみにカムシャフトというのは、下記画像のような軸のことです。
先ほど説明したバルブにはバネが取り付けられており、押している間だけバルブが開くように設計されています。
カムシャフトには卵型の出っ張りがあるので、「出っ張っている部分でバルブを押す(開く)、出っ張っていない部分では押さない(閉じる)」この動作を、カムシャフトを回転させることによって実現しています。
※本当はロッカーアームなんていうパーツが間に入っていることがほとんどですが、割愛します。
ちなみに、画像のカムシャフトは”単気筒”のハンターカブ用で、卵型の凹凸が2つ付いており、それぞれの凹凸で”吸気バルブ”と”排気バルブ”を動作させています。
SOHCのメリット
機械において、シンプルというのは非常に大きな強みです。
DOHCと比較して構造が簡単なため、大量生産がしやすく、軽量かつコンパクトに仕上がるというメリットがあります。
また、駆動時の抵抗も少ないため”低燃費”なエンジンに仕上がりやすいのもメリットですね。
SOHCのデメリット
一本のカムシャフトで吸排気系のバルブ開閉を全て動作させる必要があるため、高性能化しにくいというデメリットがあります。
また、エンジンを回せば回すほど、回転数との追従性をキープさせるのが難しくなるため、高回転にも不向きと言われています。
DOHCの特徴とメリット・デメリット
DOHCとは、ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフトの略。
SOHCは1本のカムシャフトですが、DOHCは吸気用のカムと排気用のカムの計2本でバルブを開閉させます。
上記画像は、HONDAのクラブマン(単気筒・DOHCエンジン)のカムシャフトですが、2本セットでエンジンに組み込まれています。
今でこそDOHCは普及していますが、かつては高性能エンジンの証とまでされた優れた仕組みでもあります。
DOHCのメリット
SOHCのエンジンと比較して、高性能かつ高回転までスムーズに回るエンジンになります。
また、カムシャフトが2本ということは、吸気と排気に負担が分散しているということなので、耐久性にも優れています。
さらに、吸排気バルブを”どれくらい開閉するか”や”開閉するタイミング”などをそれぞれコントロールすることも可能なので、低燃費かつ高出力を実現することも可能。
(有名なのは、CB400SFに搭載されているV-TECとか。)
DOHCのデメリット
精密なエンジン構造な為、部品点数が増えてエンジンが大きくなります。
サイズ感が増すと当然のように重量も重くなりますので、SOHCと比較して重たいバイクになりやすい傾向にあります。
また、いくら高性能といっても燃費ではSOHCに敵わないことも多いですね。
【豆知識】その他のエンジンタイプ
大多数のバイクは”SOHC”と”DOHC”ですが、極一部はその他のエンジンタイプが使われたりします。
あくまでも豆知識程度に知っていたら問題ないと思いますので、超軽めに説明を。
OHV(オーバーヘッドバルブ)
古いバルブ駆動方式で、ハーレーダビッドソンが搭載していることで有名。
SOHC・DOHCでは、カムシャフトという”軸”を”回転させて”バルブを開閉させますが、オーバーヘッドバルブではプッシュロッドという”棒”を”押して”開閉させるという違いがあります。
メリットは、”SOHC”よりもさらに構造が単純かつメンテナンス性が非常に良いこと。
デメリットは、燃費があまりよろしくないのと、高回転には向いていないということ。
ハーレー以外にも、初代モンキー・初代スーパーカブ、CG125や、チョイノリなんかにも搭載されていたりします。
SV(サイドバルブ)
OHVよりもさらに歴史が深く、昨今では全く見かけることの無いバルブ駆動方式。
OHV・SOHC・DOHCは全て”OH(オーバーヘッド)”という単語が付いていますが、これはエンジン上部にバルブを置く仕組みです。
対して、”SV(サイドバルブ)”はエンジンの真横にバルブを付けているワケです。
そのため、エンジン上部を簡素にしやすく、取り外して清掃・調整などもでき、メンテナンス性が非常に良いというメリットが生まれます。
また、圧縮が低いというデメリットもありますが、その影響で粗悪な燃料であっても動作してしまうため、軍用車両に最適なエンジンでした。
しかし、燃費があまりにも悪かったり、エンジンの清掃が必須だったりと、経済的では無かったため徐々に一般的ではなくなっていきました。
国内でSVのバイクを探すことはとても難しいですが、ガスガス(スペインのメーカー)のトライアル車や、長江(中国)のCJ-750など、極一部なら未だに入手可能なようです。
あわせて読んで欲しい記事
バイクの”スペック表”にフォーカスを当てた記事も書いています。
スペック表にまつわることなら”ほぼ”網羅していますので、もしスペックについて分からないことがあれば下記記事をご覧ください。
最後に
今回はバイクの”SOHC”・”DOHC”について解説をしていきました。
このワードもよく聞く割に、何となくで理解している方が多いワードでは無いでしょうか。
ぶっちゃけ今のバイクの進化は目覚ましいので、”SOHC”だろうが”DOHC”だろうが、乗り味が劣るワケではありません。
個人的には、知っていたら少しだけバイク選びが楽しくなるワードってところですね。
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